Monday, December 26, 2011

教訓は生かされていいないようだ


先日新聞に漢方に関する記事があった。漢方薬は例えば抗がん剤の投与による副作用を緩和するために使われると書いてあった。それ自体は大変結構で、私も昔病院で働いていた頃から知っているし、賛成する。
しかし、この記事にも又「○○漢方は○○病に使われて効果あった」と書かれている。典型的な西洋医学的な考え方だ。漢方(医学)では「○○病だから○○漢 方薬」と言ったスタイルで薬を選択しない。症状の組み合わせ(それぞれの組み合わせは一つのセットとなって専門用語に「証」と呼んでいる」に基づいて薬を 選んでいく。その基本ルールを勝手、そして西洋医学の思考パターンで無視される気配はここにも見られる。

それはどの程度の弊害を齎し得るのかは1996の「小柴胡湯事件」で明らかになった筈のに・・・
「小柴胡湯事件」とは: 
小柴胡湯は太古昔から大変優れている薬だと広く知られている。比較的近年にこの漢方薬は慢性肝炎にかなりの効果がある事は西洋医学的な研究で分かったた め、それこそ広く慢性肝炎患者に投与されるようになった。しかし、上記のように医者は「○○病だから○○漢方薬」と言ったスタイルで小青龍湯を処方した所 で1996あたりでこの薬の「副作用」で死者が出た。
それ以来ツムラと言う漢方薬のメーカーの薬のメモ帳のような物に赤文字で注意書きが加わる事になった。

漢方薬は悪い、危険、副作用が多いなどではない。漢方薬の使用に関わるルール(漢方医学の概念)を無視したためこの事件が発生した。

この記事を読んで ・・  その教訓はどうやら実らなかったと思わざるを得ない。
患者の皆さんは大丈夫でしょうか。

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