下記の文を読売新聞の投書した:
(念のために関係する文章を最後にコピーした)
拝啓
私はドイツ人鍼灸師、Thomas Blasejewicz と申します。
http://www.einklang.com/
免許は日本で取得し、約30年間臨床家として働いています。今日は貴社のサイトで
「http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=68166&from=ym
言葉を奪われた青年(3) 「誤診」明かし消えた主治医」
を読ませていただきました。
さて、ここでは鍼治療ならなんでも治せるなどの横柄で馬鹿な事は言いませんが、記事に説明された症例において「手当て」は恐らく患者を幾分救えたに違いありません。以下の文は私のfacebookページからコピーします:
「手当て
最近格好良く「医療」や「医学」と呼ばれているものは一昔前まで「手当て」と言ったものであった。
脈を診て、胸はお腹をぽんぽんと叩いたり、聴診器を当てて、手足を治療者の手で触って診察された。治療もそれこそ手を使って「施された」事が多い。職人技の出番。
今は診察、例えば血圧測定、が機械任せられ、先生はPC画面を睨んで患者を見もしない、そして「治療」は理学療法、鍼灸を含めて、何かの機械をあてる事に限ることが多くなった。
手当てより電気当てへ。
私は昔風の手当ての方がいい!」
まともに仕事するなら世界中の看護婦に聞いても答えは統一:手当ては有益。
そのような「手当て」を受けた患者、世界中何処でも恐らく同じ意見を持ちます。
私は25年ほど前に大病院で働きました。特にがん患者を沢山診ました。
末期がんで苦しんでいる患者、例外なく当時まだいた「お付き添いさん」で撫でられると「楽になる」と訴えました。
間もなく死ぬ人は格好付ける必要もないし、嘘を言っているとも思えません。
当時外科の部長に「手当ての効果」に関して聞きました:
「そんな馬鹿な話あるもんか」と答えました。
それから大分時間が経ち、今風のEBM妄想に惑わされている人達でさえが少々目覚める兆しが見えますが、
貴社のサイトで記載されているストーリは多くの患者が相変わらず医者や医療に苦しめられているのは否定しがたい事実のようです。
よろしくお願いします
トーマス鍼灸院
Tel/Fax: 046-876-3077
tom@einklang.com
www.einklang.com
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Cure sometimes, treat often, comfort always.
Hippocrates
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http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=68166&from=ym
言葉を奪われた青年(3) 「誤診」明かし消えた主治医
タクヤさん(仮名)の精神科病院での入院は1年に及んだ。この間、多感な少年は多剤大量投薬を受け続けた。「僕には薬は効かない。薬じゃ治らないん
だ!」。いくら叫んでも、主治医は聞き入れてくれなかった。両親もまた、息子よりも精神医療を信じてタクヤさんの必死の叫びを聞き流した。母親は今、「お
かしいのは私たちの方だった。後悔してもしきれない」と悔やむ。
クロルプロマジン、レボメプロマジン、ルーラン、セロクエル、ジプレキサ、リスパダールなどの抗精神病薬が、一度に複数使われた。この中には、タクヤさ
んが陥った常同行動などの強迫症状をさらに強める恐れが指摘されているものもある。発達障害に詳しい精神科クリニックの医師は指摘する。
「発達障害の可能性がある人に強迫症状が出た場合、少量のオーラップ(神経系用剤)か、少量のエビリファイ(抗精神病薬)などで様子をみるのが一般的。
同時に家庭や学校のストレス因子を突き止め、生活環境の改善をはかる。しかし発達障害が眼中にない精神科医は、すぐに統合失調症と診断するので、リスパ
ダールやジプレキサなどを最初から出して、かえって強迫症状を強めてしまう。そして薬がどんどん増えていく」
結局、タクヤさんは主治医にさじを投げられた。「薬は全て使ってみましたが、効果がない。これ以上は無理です。残念ですが、交通事故にあったようなものだと思ってください」。
さらに主治医は、タクヤさんの退院直前に、こう言って姿を消した。「統合失調症ではないかもしれない。強迫性障害かもしれない。自信がなくなったのでア
メリカかどこかで勉強し直します」。精神科では、医師のこんな無責任な言動もまかり通る。学習材料にされ、症状悪化のまま放置された患者はたまったもので
はない。
主治医は変わったが、外来でも相変わらず多剤大量投薬が続いた。タクヤさんの体調はすぐれず、近所の内科で安静時の脈拍が140もあることが分かった。内科医は「このままでは危ない。薬が多すぎる」と危機感を抱き、精神科病院に電話をかけたが、以後も薬は減らなかった。
退院の一年後、強迫性障害の治療に定評があった別の精神科病院に通い始めた。ここで診断が「適応障害」になり、薬をどんどん減らしていった。すると、全
身の筋硬直や気分の激しい波は収まってきた。もともとあった常同行動は減薬が進むにつれて目立つようになったが、カナダの姉の家にホームステイしている間
はすっかり治まるなど、リラックスできる環境にいると改善することが分かった。
20歳で自動車の運転免許を取得し、単位制の高校にも通い始めた。買い物に行くと、バッグや靴、帽子ばかりを買い、すぐに返品するなど変わった行動も見られたが、順調に回復してきたタクヤさんに、父親が度々愚痴を言うようになった。「俺は18歳の時には働いていたぞ」。
サッカーをやめて以来、父親との関係がうまくいっていないタクヤさんは、急き立てられるようにバイトに打ち込んだ。慣れない仕事で度々ミスをして上司に
怒られると、家でひどく落ち込み、「俺はニートだ。親に申しわけない」とつぶやいた。目をしきりにパチパチさせるチックのような症状や、自分の顔や腰、太
ももなどを叩き続ける行動が表れた。音に対して非常に過敏になり、小さな生活音にも苦しんだ。家にいても立ちっぱなしで過ごすようになり、脚がパンパンに
腫れ上がった。再び飲食をやめてやせ細り、自宅近くの3か所目の精神科病院に緊急入院した。22歳の時のことだ。
ここでまた、診断名が「統合失調症」となった。だが、抗精神病薬を増やすだけでは改善の見通しが立たず、電気ショック(ECT・電気けいれん療法)を勧
められて実施できる大学病院に移った。回数は計10回(週に1、2回実施)。7回目までは、受けた直後に受け答えがはっきりして、「効果があるように思っ
た」と母親。だが8回目以降は目立った変化は表れず、固まったまま動かなくなるなど状態はかえって悪化した。「これ以上、手の施しようがない」と言われ退
院した。
自宅で立ちっぱなしの状態が続いた。時々、下を向いて足踏みをしたり、手を突っ張ったりした。このころはまだ、家族との会話はできていたが、放っておくと、食べたり、歯を磨いたり、シャワーを浴びたりしないため、母親の世話が必要になった。
24歳の春、また飲食をしなくなり、再び大学病院に入院。鼻から管で栄養を入れるようになった。電気ショックが計13回行われ、1回目の直後から、左手
に小刻みな震えが起こるなど体の異変が表れた。回数を重ねるにつれて、右手の指が内側に曲がって動かなくなるなど、両手の硬直がひどくなった。
この症状について、同じ大学病院の整形外科医は「薬の影響だけでなく、ECTの後遺症の可能性がある」と母親に告げたが、精神科の主治医は「原因は分か
らない」と繰り返した。以後、手の硬直は1年以上続いた。そればかりか、13回の電気ショックが終わるころには、タクヤさんは言葉を話せなくなっていた。
◆
統合失調症の誤診やうつ病の過剰診断、尋常ではない多剤大量投薬、セカンドオピニオンを求めると怒り出す医師、患者の突然死や自殺の多発……。様々な問
題が噴出する精神医療に、社会の厳しい目が向けられている。このコラムでは、紙面で取り上げ切れなかった話題により深く切り込み、精神医療の改善の道を探
る。
「精神医療ルネサンス」は、医療情報部の佐藤光展記者が担当しています。
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(2012年11月16日 読売新聞)